グループ一体ですすめる環境負荷の低減
丸井グループは、すべては社会からの「預かりもの」であるという考えのもと、事業活動に関わるグループ社員一人ひとりが自ら考え、社会のお役に立つ取り組みの輪を広げ、グループの独自性を発揮した豊かなライフスタイルを提案するとともに、環境負荷の少ない事業に取り組みます。
丸井グループ環境方針
基本的な考え方
丸井グループは、ビジネスを通じて持続可能な社会・地球環境を実現することが、将来世代への倫理的な責任であると考え、長期ビジョン「丸井グループ ビジョン2050」に掲げた、地球と共存する選択肢を提供する「グリーン・ビジネス」の取り組みを進めています。
環境負荷低減の活動と収益を両立する取り組みをPDCAサイクルでマネジメントすることが重要であると考え、基本的な考えを明確にし、重要課題と行動指針を定めました。
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1. 環境課題のマネジメント
丸井グループは、取締役会の諮問機関である「サステナビリティ委員会」および、コンプライアンス推進会議の下部組織である「ESG委員会」にて、環境課題への取り組みについて審議・決定・実行するとともに、PDCAサイクルによる継続的なマネジメントを行います。また、環境課題の解決に向けて、エネルギー、資源、商品、テナント開発・管理、サステナビリティに関連する各部署が連携して取り組みを推進します。取締役会に適宜報告・提案することで環境課題のマネジメントに関するガバナンスを強化し、「丸井グループ環境方針」についても毎年見直しを行っていきます。
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2. コンプライアンスの遵守
丸井グループは、環境関連の法令、地域の条例・協定、各国法令などの遵守はもとより、国際的な環境基準などを踏まえ行動します。さらに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)をはじめとする国際的な合意を重視します。
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3. 環境デューデリジェンスの実施
丸井グループが今後取り組むべき重要課題は、丸井グループのみでは解決できず、すべてのステークホルダー、さらにはバリューチェーン全体に及ぶ共創が必要です。さまざまなステークホルダーの意見を踏まえ、環境面での重要なリスクを正しく特定し、報告、改善、フォローなどにより環境デューデリジェンスを実施します。
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4. ステークホルダーとのエンゲージメント
丸井グループは、お客さま、株主・投資家、お取引先さま、地域・社会、社員、将来世代の6つのステークホルダーの重なり合う利益(しあわせ)の調和と拡大の実現を企業の存在意義としています。多様なステークホルダーの声を聞き、エンゲージメントを深化させながら、共創による環境課題の解決をめざします。
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5. 環境意識の向上
丸井グループは、「丸井グループ環境方針」や環境課題などの理解・浸透・実行に向けて、グループ役員・社員の研修はもとより、お客さまやお取引先さまとのコミュニケーション活動などを通して、さまざまなステークホルダーと共に環境意識の向上に努めていきます。
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6. 環境情報開示の透明化
丸井グループは、TCFDなどの国際的な情報開示基準に則った開示を進め、第三者検証を実施しながら、環境関連の活動内容・実績、財務影響等を定期的に開示し、透明化を推進します。
重要課題と行動指針
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1. 気候変動
気候変動は人類の生存を脅かすものとして、もはや気候危機ととらえられています。パリ協定の合意のもと、気候変動の適応と緩和を推し進めるべく、丸井グループは新たな施策へのチャレンジや国際的イニシアチブへの参画、サプライチェーンへの働きかけなどにより、カーボンネガティブの実現をめざします。
- 温室効果ガスの削減省エネルギーや再生可能エネルギーの取り組みを推進し、温室効果ガスの削減を進めていきます。また、自社およびバリューチェーンの排出量を継続的に算定し、国際的イニシアチブであるSBTに認定された削減目標の達成に取り組み、「平均気温上昇を1.5℃に抑えた世界の実現」をめざしていきます。
- 省エネルギーの推進店舗・事業所などへの省エネルギー設備の導入や節電をはじめ、働き方改革による残業時間の削減やグリーンビルディングの推進、環境負荷低減に取り組むテナントさまの誘致、お取引先さまへの省エネルギーの働きかけなどにより、ステークホルダーとの共創による省エネルギーの推進に取り組んでいきます。
- 再生可能エネルギー化の推進丸井グループは、RE100に加盟しており、中長期目標の達成に向けて自社の店舗・事業所への再生可能エネルギーの導入を進め、電力調達の100%再生可能エネルギー化をめざします。また、お客さまへの再生可能エネルギー電力への切り替えの提案などにより、環境に配慮した豊かなライフスタイルを提案します。
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2. 資源循環
丸井グループは、限られた資源を大切に活用するために、生産、流通、使用段階を含めたバリューチェーン全体での資源循環の実現を推進します。お客さまやお取引先さまなどとの共創を通じて、資源の有効活用や廃棄物の削減、適正な化学物質の管理による汚染防止などにも努め、持続可能な循環型社会をめざします。
- 廃棄物の削減自社から排出される廃棄物の削減はもとより、材料の調達からモノづくり、商品の販売から廃棄されるまでのバリューチェーン全体において責任があると認識しています。自社における3R(リデュース・リユース・リサイクル)を推進し、お取引先さまに対しても、過剰生産・使い捨ての削減などを働きかけていきます。
- 持続可能な商品の開発生分解性プラスチックやバイオ素材、再生素材などを活用した循環型の商品開発に努めていきます。お取引先さまとの共創により、環境負荷の低減や化学物質の適正な管理など、サプライチェーンを含めた持続可能な商品・サービスの提供をめざします。
- 廃棄物の適正処理食品廃棄物や産業廃棄物等の処理体制を整備し、汚染防止なども含めた廃棄物の適正処理を推進します。また、テナントさまも含め、事業所内での廃棄物の分別により、リサイクル率の向上に努めます。
- 包装材の環境負荷低減社会に排出されるプラスチックなどを削減するため、店舗やECにおけるショッピングバッグ・ギフト包装・梱包材などを環境負荷の低い素材へ変更し、環境関連認証の取得などを進めます。テナントさまにもショッピングバッグや商品パッケージの素材の変更などを働きかけます。
- フードロスの削減お客さまやお取引先さまと共に、食品の小分け提供やプレオーダーなどを推進し、フードロスの削減に取り組みます。あわせて、事業所内での食品廃棄物の分別の徹底などにより、リサイクル率の向上につなげます。
- 水資源の管理水質汚染や有害な化学物質放出の最小化、水の使用量の削減などをめざし、水資源の管理を推進していきます。お取引先さまやサプライチェーンにおいては、商品の生産における有害物質の使用や水資源の汚染を防止するため、CSR調達の方針に基づき行動していきます。
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3. 持続可能な生態系
私たちの暮らしや経済活動は、持続可能な生態系が生み出す自然の恵みから成り立っています。丸井グループは、ステークホルダーとの共創により、生物多様性に配慮するとともに、責任あるサプライヤーとのCSR調達などの取り組みを通して、持続可能な生態系の保全をめざします。
- 持続可能な調達自社さらにはお取引先さまへの働きかけを通じて、安全・安心な商品をお客さまに提供するため、サプライチェーン全体で責任ある持続可能な調達をめざします。化学物質の管理がなされたオーガニック素材や、アニマルウェルフェア、原産地域の持続可能性への配慮など、素材・食品の適正な調達・活用を推進し、トレーサビリティの信頼性の向上に努めます。
- 自然との共生健全な生態系を保全するため、生物多様性に配慮した店舗環境の整備や緑の創出、ヒートアイランド対策などを地域社会との共創により進めます。お客さまが自然と触れ合う機会や場の提供などを通じて、お客さまとの共創による自然との共生を推進します。
セグメント別に推進する取り組み
丸井グループでは、重要課題における行動指針に基づき、セグメント別に以下の取り組みを推進します。
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1. 小売セグメント
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店舗の取り組み
- ・省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入
- ・テナントさまと協力した廃棄物および水使用量の削減やリサイクルなどの取り組み
- ・包装材の素材変更やレシートの電子化など省資源化につながる取り組み
- ・食品の小分け提供やプレオーダーなどによるフードロス削減
- ・施設の内装および外装における持続可能な材料の利用促進
- ・体験型やD2Cなどのテナントさまの誘致
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オムニチャネルの取り組み
- ・商品受け渡し拠点の拡充による再配達の抑制
- ・拠点間の循環物流など環境に配慮した物流事業の取り組み
- ・梱包材の見直しによる環境負荷の低減
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商品・サービスの開発
- ・お客さまとの共創による環境負荷の低い商品・サービスの開発
- ・お客さまのニーズに沿った商品提供による廃棄の抑制
- ・サーキュラーエコノミーに対応したビジネスモデルの開発
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店舗の取り組み
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2. フィンテックセグメント
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クレジットカード関連の取り組み
- ・環境負荷の低い素材を使用したカード券面の開発
- ・利用明細の電子化などによる省資源化の推進
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カード会員に向けた環境配慮への取り組み
- ・再生可能エネルギー電力への切り替えの提案
- ・環境NPOなどへのポイント寄付メニューの提供
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クレジットカード関連の取り組み
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3. 新規事業
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環境負荷の低い商品・サービスの開発
- ・再生素材などを使った新商品の開発
- ・素材や食品のトレーサビリティなどによる持続可能な調達
- ・環境関連認証を取得した素材の活用
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環境に配慮したライフスタイルの提案
- ・新たな価値観に則した事業の創出
- ・環境に配慮した新たな食の選択肢の提案
- ・環境負荷の低い住環境の提案
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環境負荷の低い商品・サービスの開発
2008年制定
2016年11月改定
2020年4月改定
2022年3月改定
サステナビリティのマネジメント体制
「2050年目標」の策定
今後の事業活動の変化と自然資本に与える影響を踏まえ、2050年を見据えた中長期の温室効果ガス削減目標を2018年3月期に設定しました。この目標は、「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」の認定を取得しました。また、2019年9月末に、丸井グループが新たに設定した温室効果ガスの削減目標が、SBTイニシアチブの「1.5℃」目標に認定されました。
中長期の温室効果ガス削減目標
中期目標(~2030年) | グループ全体のScope 1とScope 2の合計を2017年3月期比80%削減、Scope 3を35%削減 |
長期目標(~2050年) | グループ全体のScope 1とScope 2の合計を2017年3月期比90%削減 |
今後も、環境負荷低減に向けた取り組みをグループ一体ですすめていきます。
気候変動へのお取引先さま・
お客さまとの取り組み
丸井グループでは、すべては社会からの「預かりもの」であるという考えのもと、グループ全体で気候変動への対応や環境汚染の予防など、環境にやさしい事業活動をめざしています。また、生産者の責任として、材料の調達からモノづくり、商品の販売から廃棄されるまでのバリューチェーン全体において環境負荷の見える化をおこなっています。
(2022年3月期)
CO2など温室効果ガス排出量は8期連続で減少
丸井グループではCO2など温室効果ガス排出量について、2014年3月期より従来のScope 1 & 2に加え、Scope 3による算定をスタートしました。これにより、丸井グループ自らの排出量(Scope 1 & 2)だけではなく、原材料の調達から輸送やお客さまご購入後の排出量(Scope 3)を含む、バリューチェーン全体の環境負荷の見える化をはかり、お客さま、お取引先さま、地域・社会と共に環境負荷低減活動をすすめています。
CO2など温室効果ガス排出量の「第三者検証」を取得
丸井グループでは、環境情報の信頼性向上のため、2017年3月期より外部の第三者である一般財団法人日本品質保証機構(JQA)より、CO2など温室効果ガス排出量における検証を受けています。検証範囲は、Scope 1 & 2、およびScope 3(全15カテゴリ)としています。
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第三者検証者
一般財団法人日本品質保証機構(JQA)
Scope 3算定結果
カテゴリ | CO2排出量(万t-CO2/年) | |||||
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2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | ||
1 | 購入した製品・サービス | 23.9 | 21.1 | 12.2 | 9.8 | 9.6 |
2 | 資本財 | 1.0 | 3.1 | 3.5 | 3.6 | 2.9 |
3 | Scope 1・2に含まれない燃料 及びエネルギー活動 |
1.0 | 1.0 | 1.5 | 1.0 | 0.9 |
4 | 輸送、配送(上流) | 0.8 | 0.9 | 0.8 | 0.7 | 0.6 |
5 | 事業から出る廃棄物 | 0.09 | 0.06 | 0.05 | 0.1 | 0.1 |
6 | 出張 | 0.2 | 0.1 | 0.2 | 0.09 | 0.1 |
7 | 雇用者の通勤 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
8 | リース資産(上流) | 0.6 | 0.7 | 0.5 | 0.5 | 0.4 |
9 | 輸送、配送(下流) | 11.2 | 10.9 | 14.3 | 8.0 | 9.4 |
10 | 販売した製品の加工 | 該当なし | 該当なし | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
11 | 販売した製品の使用 | 1.1 | 1.2 | 0.9 | 0.8 | 0.7 |
12 | 販売した製品の廃棄 | 0.5 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.3 |
13 | リース資産(下流) | 0.5 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
14 | フランチャイズ | 該当なし | 該当なし | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
15 | 投資 | 0.005 | 0.005 | 0.005 | 0.004 | 0.004 |
<参考> | ||||||
Scope 1 GHG排出量 | 1.4 | 1.5 | 1.4 | 1.1 | 1.1 | |
Scope 2 GHG排出量 | 9.9 | 9.6 | 6.8 | 3.8 | 3.0 | |
Scope 3 GHG排出量 | 41.2 | 40.0 | 35.2 | 25.7 | 25.8 |
バウンダリ:
グループの事業活動全体
算定カテゴリ:
15のうち当該しないカテゴリ2つを除く13カテゴリを算定
算定概要:
社内システムのデータベースによりデータを収集
- ・カテゴリ1:プライベートブランド商品および事業に関連する調達などによる排出量
- ・カテゴリ9:マルイ店舗へのお客さまの来店手段についてアンケート結果に基づき算出
- ・カテゴリ11:アパレル商品の洗濯・クリーニングと年間洗濯回数についてお客さまアンケート結果に基づき算出(株式会社丸井グループオリジナルシナリオ)
算定方法:
環境省・経済産業省が定めた「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に準拠し算定しています。算定結果については、みずほ情報総研株式会社さまに確認していただきました。
ポイント
丸井グループでは、Scope 3のカテゴリ9、カテゴリ11について、お客さまアンケート結果に基づいて算定しています。(2016年実施)
カテゴリ9(下流の輸送、配送)は、お客さまのご来店手段より算定しており、徒歩でご来店いただいているお客さまは約3割(全店舗平均)で、CO2排出量はゼロとしています。この状況をふまえ、今後もお客さまと共創できるCO2排出量削減の取り組みを検討していきます。
カテゴリ11(販売した製品の使用)は、株式会社丸井グループオリジナルのシナリオを設定し、アパレル商品の洗濯の実態より算定しています。環境にやさしい商品の購入を通じて、環境課題の解決に寄与したいと思われるお客さまへ、エコロジカルなライフスタイルの提案につなげていきます。
今後もScope 3の算定方法や算定結果を、お客さまをはじめとするステークホルダーのみなさまと共創できるよう活かしながら、環境負荷の低減に努めていきます。
このサステナビリティサイトは、色覚障がい者の方々に配慮しています。