
Dialogue 03互いを理解し認め合い 一人ひとりがイキイキと働く
左より、小見山、小山田、新井、西本、手話通訳:杉田、進行・手話通訳:堀
2003年設立の特例子会社株式会社マルイキットセンターは、障がい者の新たな雇用を創出するため1992年に創業しました。現在は、知的障がい者32人、身体障がい者3人、聴覚障がい者10人と健常者11人、あわせて56人(2016年10月1日現在)が働いています。さまざまな障がいのある彼らが、どのように仕事上の障がいを解決し、互いを理解し認め合って共に働いているのか。共通言語の手話や指さしボードを活用しながら、日々の仕事で感じている課題や工夫、仕事へのやりがいについて語り合いました。
一人ひとりの苦手を理解した働きやすい職場
小山田:私の障がいは、知的障がいです。生まれた際に軽度の小児脳性麻痺があったそうです。3年前に会社見学に来た時、雰囲気が明るく、自分の働きやすそうな環境だと思い入社しました。
西本:私は聴覚障がいです。元々この戸田商品センター内にあった別会社で働いていましたが、11年前にキットセンターに入社しました。
小見山:24歳の時に脳出血で倒れ、左半身麻痺となりました。オシャレがしたくて丸井グループの面接を受けました。入社して10年程になります。2016年10月にキットセンターに異動してきました。
新井:私は聴覚障がいです。長い間主婦をしていて、社会復帰のために11年前に入社しました。キットセンターは、みんなの苦手を解決しようという職場なので、とても働きやすい環境です。
小山田:キットセンターに入社して、自分には「できる仕事」と「苦手な仕事」があるとわかって良かったと思いました。
堀:それは、私たちが独自におこなっている「ライセンス制度」のことですね。社員一人ひとりについて、どの業務ができないか、どういった点が苦手か、業務を細かい項目に分けチェックリスト方式で確認しています。
小見山:私は右手しか使えないのですが、どうしたら片手でも業務がスムーズにできるようになるか、みんなが一緒に解決方法を考えてくれました。
杉田:「ライセンス制度」のチェックで「作業に時間がかかる」という方がいましたね。その方は左利きだったのですが、右利きの方が仕事を教えていたので、やりにくかったようです。時間がかかっていた理由がわかり、すぐに左利き用の業務のすすめ方をみんなで考えていましたよね。
新井:私は耳が聴こえないので、周りの状況や動きにとても敏感です。キットセンターでは、周りのことが気になってしまう方たちのために、みんなが同じ向きで作業しています。目の前の仕事に集中できるのでいいですね。
杉田:作業台の上の整理整頓も大切ですよね。いつも同じ場所に必要な物を置いていないと、「できる仕事」も「苦手な仕事」になってしまいます。どこに何を置くか、位置がすべて決められていますよね。
小山田:納品先の宛先の表示が、漢字ではなくアルファベットと数字に変わったので、間違えないし、速く作業ができるようになりました。
堀:漢字よりもアルファベットと数字のほうが認識しやすかったようですね。キットセンターの特徴は、そういったアイディアや工夫がたくさんあるところだと思います。小さな配慮を重ねていくと、障がいとなるものが消え、仕事がスムーズにすすみ、生産性が向上しますね。
西本:優れたアイディアには「小さな配慮賞」が贈られていますね。私たちはいつも、仕事の中で生じる障がいをどう解決したらいいか、互いにアイディアを出し合っています。
共通言語が筆談から手話へ
堀:皆さんのこれまでの経験はさまざまですが、一緒に働くうえで大変なことはありますか。
新井:ブルーチームと一緒に働く時に、手話を使わずにどうやって接したらいいか最初は戸惑いました。
西本:私もです。何かが起こった時、どうやってブルーチームに知らせればいいのか、どうすれば私の気持ちを伝えられるのか、悩んだこともありました。
杉田:言語が違うブルーチームとオレンジチームは、どうやってコミュニケーションを上手く取れるようになったのですか。
小山田:私がいる商品検品担当のリーダーはオレンジチームの人なので、最初は筆談ボードを使っていました。しかし筆談だと書くのに時間がかかり、お互いの気持ちが伝わりにくかったので、手話を勉強することにしました。
新井:私は事務サービス担当でリーダーをしているのですが、キットセンターでは手話を使える人が多いので、仕事がとてもすすめやすいです。
堀:小山田さんは社内の「手話ライセンス」でも上級を持ち、全国手話検定でも3級に合格しましたね。
小山田:まだ細かい話は筆談ボードを使用しますが、今ではほとんど手話で会話ができるようになりました。
新井:手話に慣れていない人には、筆談ボードに加えて、指さしボードを使ったりもしますね。
西本:普通、聴こえない人は「聴こえない」という障がいがあると言われます。でも、間に手話があれば、その障がいとなるものがなくなるのです。聴こえる人と聴こえない人が一緒に仕事をする時、「共通の言葉がない」という障がいが発生するのだと思います。
小山田:ブルーチームでは毎日、オレンジチームの人に手話を教えてもらっています。仕事で使う言葉を早く手話で表現できるようになりたいと、皆で取組んでいます。
誰かのお役に立っているという実感が
社員一人ひとりの働き甲斐につながる
堀:今まで仕事をしてきた中で、嬉しかったこと楽しかったことはどんなことですか。
小山田:一緒に働いている仲間をサポートした時にもらえる、「ありがとう」の言葉がとても嬉しいです。皆から必要とされる人になりたいので、商品検品担当と出納センターの両方の仕事をきちんと覚えていきたいです。
新井:私は担当者から急ぎの出荷を依頼され、間に合わせることができた時に、「迅速な対応をしていただいてありがとう」というメールを見て喜びを感じます。出荷した後お店で商品がきれいに並んでいるのを見て、「私たちの仕事がお役に立ったんだ!」と嬉しくなったこともありました。
西本:商品検品担当の時に、グループ会社の株式会社ムービングから「忙しいので助けてほしい」とよく言われていました。商品検品担当は1日にたくさんの商品を処理しますから、それが達成できた時はお役に立っていると感じます。
小見山:私はまだ研修中ですが、時間内にきっちり仕事を終えることができた時に、「よくやったね」と評価してもらえ、ここは働きやすい職場だと思いました。私たち用度品担当は直接お客さまとお会いすることはないですが、全国のスタッフが円滑に働けるよう手助けをし、会社のお役に立っていると信じて仕事をしています。
新井:私はリーダーという立場なので、今後もいろいろな配慮や工夫につとめ、仲間がもっと仕事しやすい環境をつくっていきたいですね。
西本:将来は丸井グループの別の部署でも仕事をして、新しいことを学んでみたいとも思っています。
小見山:私は異動してから日も浅いので、早く仕事を覚え、いろいろな担当に応援に入れるオールマイティな人材になることが目標です。
堀:皆さん本当に仕事熱心ですね。キットセンターでは、耳が聴こえないという障がいや、コミュニケーションを取りにくいという障がいの壁をあまり感じないですね。
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- 小山田 悠太
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株式会社マルイキットセンター
商品検品担当ブルーチーム(知的障がい)
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- 新井 恵
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株式会社マルイキットセンター
事務サービス担当リーダーオレンジチーム(聴覚障がい)
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- 西本 ゆかり
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株式会社マルイキットセンター
出納センター担当リーダーオレンジチーム(聴覚障がい)
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- 小見山 隆志
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株式会社マルイキットセンター
用度品担当ブルーチーム(身体障がい)
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- 堀 充
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(進行・手話通訳)
株式会社マルイキットセンター業務担当
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- 杉田 有香
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(手話通訳)
株式会社マルイキットセンター業務担当
ステークホルダーとの対話
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